網野さん発行のメルマガに思う

私は メールマガジンをほとんど読みませんが、建築士 網野さんの事務所が 不定期でメルマガを発行していると聞いて、購読の手続きをしたのは、かれこれ 半年前になろうかと思います。

メールマガジンは そのほとんどに 以下のようなただし書きがついています。
なんとも 手前勝手な言い分と思っていて トラックバックのついたブログや、返信を公開している日記のほうが、よほどフェァだと考えています。

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▲尚、このマガジンの内容を、無断で転載・使用しないでくださいね。
○お友達には、どんどん紹介しちゃってください。

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こういう事情で、発行者の許可を取らないと、発言が出来ないのですが、網野さんの所から今回発行されたメルマガから 一部を一般論としてくくると、
○民家は再生されなければ、ただの産業廃棄物。
○現代 そして未来が欲する建築物として再生させるためには、「規模を縮小する」という「判断と決断」が必要である。


こんなことが述べられていました。

私たちは 睦沢に住まいを持つことを決めた当初の計画は、30坪くらいの平屋を建てようと思っていました。
入母屋作りが並ぶ、千葉の里山や 房総民家が点在する 房総を美しいと思っています。

そんなことを考えるうち、民家再生リサイクル協会の活動を目にし 石川工務所さんの引き取り手を捜すコーナーで 今 手にした民家に出会いました。

千葉の民家は 移築再生できるような素材が使われていないため、似たようなことをしようとすると、古材というたいへん割高な素材を組み立てていかなければなりませんでした。

都会から 定年後の暮らしを求めるものにとって、民家の開放感は大変魅力的です。

古材を使った新築をするには あちこちから古材を集めなければなりません。
人手も手間もかかることです。
今回の場合に限って言えば、移築がリーズナブルな選択であると 工務店との話し合いの中で決定しました。その一つの要素は 今のままの形を守って移築する。これが もっとも 価格面で合理的である。
このように理解して、スタートしました。

家の大きさという観点から、定年後の暮らしの中でのランニングコストをどう管理するかという問題について これにはエネルギーをそそがなければなりません。
それこそ 施主及び建築士 工務店の協力により、将来を見据えた予算に合った 最新の合理性を取り入れる計画に励む。これじゃないでしょうか。

これが私たちの家つくりと思い検討しています。

こうして 日本の原風景をチョットでも残し、私たちの人生を終え、次の世代がどうするか、それは その時代の人たちが考え行動すればいいことだと思います。
2006/02/03(Fri) 07:00:08 | 古民家再生日記

Re:網野さん発行のメルマガに思う



はじめまして。
いつもブログを楽しみに読ませてもらっています。
長文のメールをお許し下さい。

私は勝浦で古民家を現地再生しようと考えている者です。
あなた様の里山暮らしが成功されることを影ながら応援しています。
田舎での生活の知恵などいろいろ教えて頂きたいと思っています。

ところで、移築古民家の件、いろいろ大変そうですね。
今回、このようなメールを差し上げる気になったのも
網野さんのメルマガを読み、あなた様のブログを読み、
なかなか難しい事になっているなと感じたからです。

当事者ではないので無責任な発言になっている面はお許し下さい。
第三者から見た言葉として読んで頂ければと思います。

私の意見の要約は次の通りです。これを読んで意味がないと思えば、あとの説明は読まなくても構いませんが、古民家再生が成功して欲しいという気持ちで書いていることだけはご理解下さい。

要約
1,網野さんの言う、家を小さくするというのは、古材を切り刻む
ということではないし、元の民家の形を守らないということとは違うのでは?
2,家が大きければ壁、屋根その他もろもろすべてコストにかかってきます。
そのコストを下げるのは材料費をケチり、粗悪品を使う事になるのでは?
工夫だけで乗り越えるには限界がありそう。
3.最初のボタンの掛け違いは、とても残念。でもそこにこだわりすぎても損をするのはあなただけです。
4.大屋根を切り欠くのは、カールベンクスのデザインじゃありません。
屋根裏に明かりと風を入れるための養蚕から生まれた昔の日本人の知恵です。
5.工務店の諸経費に明細がないのは当然。工務店の維持費なのだから。
あなた様の家とは全く無関係、関係しているのは売り上げに対する比率だけ。
世の中の仕組みはみんなそうです。どんな商品も材料費の他に利益が上乗せされています。明細なんてありません。

結論
小さくしたプランをきちんと検討したらどうでしょうか?
門前払いは良くないと思います。

私も古民家に惹かれていろいろ検討してきた者です。日本民家リサイクル協会の友の会会員にもなっています。いろいろ批判的な意見がブログに書いてありましたが、私としてはとても丁寧で立派な活動をされていると思っています。古民家を残そうという意志だけで活動しているようですよ。

ところで、網野さんの講演を聞いたこともあります。どちらかというと網野側の意見になりそうですが、別に網野さんとは関係はありません。個人的な感想ですが、網野さんの第一印象は、嘘をつくような人じゃ無さそう。というものです。あまり関係有りませんが、第一印象って意外と大切です。

さて、本題ですが、家を小さくすると言っても架構を完全に無視して古材を単なる材料とすることでは無いはずです。古材にはそれぞれ解体時に番付をして組み直す時に分かるようにしてあるはずですから、それに基づいて組み立てていくわけで、小さくするにしても木組みの構造は基本的に継承されていると思います。そのままの形という言葉は、いろいろな意味にとれるので誤解が有ったのかもしれませんが、基本構造を継承しながらも一部の部材を取り除いたり短くすることもそのままの形を維持したことになるように思います。特に古民家再生ではそういう事をしながら再生し、新しい住まいとしていると思います。もちろん石川工務所としては番付通りに組み上げるのが一番安価に済むのでしょう。でも外壁、内壁、屋根材などトータルで見れば、多少古材に手を入れて、「そのままの形」では無くした方が安価に仕上がるということは十分考えられることです。もちろん家のサイズが外観の重要な要素であるし、できれば変更無しで作る方があなた様にとってベストであることはよく分かっています。

また、古材を切ることに罪悪感を感じることはないと思います。それよりも新しいスギで太い柱とし、100年後にその柱を古材にしてあげた方がいいとおもいます。私たちの世代はあらゆるものを消費し尽くして来ました。古材も消費するだけで新しく古材を作ることをしていません。10cmあまりの柱では古材にならないからです。太い柱を家の中で使いながらじっくり100年乾燥させましょう。黒光りすることはないかもしれませんが、味わいのある古材になると思います。そうして古材を生み出すことが出来れば、今ある古材を自分の世代で終わりにしても良いのではないでしょうか。それに、古材はいろいろな用途があります。切れ端も意外と良いものです。石川工務所さんから古材の切れ端でできたコースターを頂きましたが、それだって立派な生活道具です。

家のコストの件ですが、無駄な設備がなければコスト削減は非常に厳しいと想像されます。材料費を下げれば、粗悪品を使わざるを得ません。無垢材と漆喰では粗悪品を選べません。とすると工賃ですが、これも合板をホチキスで留めていくだけなら大してかからないかもしれませんが、それなりの材料を使うとなれば工賃も必要となるでしょう。セルフビルドで安く仕上げている方もいますが、本格的な大工工事をする決意が必要です。チョトだけ壁塗りしました程度ではコストを下げる効果は期待できません。職人さんも生活していますから基本的な工賃は支払ってあげたいものです。たぶん知恵で解決できることはあまり残っていないのではないかと心配しています。ご存じかもしれませんが、山梨蓼科でセルフビルドの古民家を建てている武田さんという方がいます。ホームページには、費用などもきちんと載っていますので本格的にセルフで行くなら参考になると思います。かなり安くはなるようです。でも武田さんはその辺の大工より腕は良いかもしれませんが。http://park19.wakwak.com/~takeda-kazu/

さて一番の問題が最初のボタンの掛け違いですね。出来ると言ったのにどうしたんだ。という気持ちはよく分かります。だましたのか。と思いたくもなるでしょう。あなた様のブログのトーンがどんどん変わっていくのでよく分かります。でも網野さん達がだましたわけでもなく、あなた様の本意がきちんと伝わっていなかったことなんだと思います。網野さんから見れば、この架構を生かして、元よりも少し規模を小さくすれば何とか予算で出来そうだということだったのだと思います。立派な小屋組も見せられるし、きっと満足してもらえるだろう。みたいに思っていたかもしれません。少し規模を小さくすることになるけど、古民家の木の素晴らしさは十分堪能できる家になりそうだから、きっと納得してくれるだろう。ランニングコストのことや大きすぎて困っている事例は沢山知っているし、コンパクトにすることは施主のためになるからな。とも思っていたかもしれません。小さくすることに自信もあったのだと思います。なぜなら、大きすぎることの不便さを知り尽くしているからです。大きなお屋敷には家事をする下働きをする人がいたのに、今はそんな人はいなくなり、掃除に手が回らない。破れた障子もそのまま。みたいなことは各地に散見されます。古民家はお屋敷ではありませんが、養蚕の工場としての位置づけですから、養蚕をしなくなった古民家の無駄に広い屋根裏は厄介者扱いです。なかなか家が暖まらないからです。だから、そういうことを考慮して小さくすることは施主のためでもあるのだと思っていたかもしれません。だから、小さくする提案も悪気があった訳でもなく、心から施主のことを思って提案したのだと思います。もちろん設計士は施主の気持ちを無視することは出来ませんが、設計士として今後その家で暮らしていく施主にも配慮すべきで、施主と違う提案をすることもあると思います。
いずれにしろ、最初に出来るといったんだから、そういう方向で検討してくれ。というのは簡単ですが、不可能を可能にする具体策がないなら、いつまで経っても先に進めない状況からは脱却出来ません。結局損をするのはあなた様だけです。小さくする事が本当に納得できないならば、その古民家はあきらめた方が良いのでは無いでしょうか。予算に見合った古民家を探して移築することにした方が気持ちがよいと思います。移築を待っている古民家はまだたくさんありますよ。でもここまできたのだから、小さくした提案を良く検討してみてください。きっと素敵な家になると思うのですけど。

屋根を小さくする件ですが、古民家をいろいろ見てみると屋根の形は本当にいろいろ有ります。寄棟は基本形かもしれませんが、屋根裏を養蚕に利用することになってからは、どうしても光と風が必要になりました。寄棟の屋根もかぶと造りの屋根に変わっていったと思います。カールベンクスの屋根もかぶと造りの一種だと思います。かぶと造りにすることで屋根裏が部屋として利用できるようになりました。現代生活で屋根裏を部屋として使うならば、また明かりを取り入れるためには屋根に工夫することがどうしても必要です。民家の屋根に天窓を付けるのは個人的には嫌いです。民家らしさが失われるからです。屋根の形を美しく変更する方がはるかに良いと思うのですがどうでしょう。個人的な趣味の領域です。でも、昔から日本人はさまざまな用途に対応して屋根の形を変えてきたことは事実です。

工務店の諸経費ですが、これは要約に書いたとおり。明細がないからと言って不明瞭なお金ではありません。工賃はその地域地域で相場が決まっていて、それには会社としての利益や諸経費は含まれていないのです。だから工務店の取り分が必要なのです。では、それぞれの家ごとに諸経費の明細が出せるでしょうか。建設している時にパソコンとトラックを買うのであなたが払ってくださいと言われても困りますよね。だから、建築費に一定の比率をかけているのであって。その比率が相応で有れば仕方がないと思います。工務店もボランティアで仕事をしているわけではないので建築費に見合った経費は気持ちよく払ってあげましょう。もちろん、良い仕事との引き替えにです。良い仕事をしてもらうには必要なお金だと思います。別に工務店の回し者では有りませんが、ブログの中では明細のない費用は払いたくないと言う感じだったので。だって、キャベツにだって経費が入って売られているんです。どのくらいの比率か分からないけど、15%ぐらいは店の経費として取っているのではないでしょうか。そこから賃金を出し、店の改装費を出し、電気代を出しとやっているのです。別に工務店だけが特別なことをしているのではないことは分かってあげてください。

かなり長くなりました。
こじれてしまった糸をほぐすのは難しいかもしれない。でも素晴らしい家が睦沢に建つことを祈っております。

追伸、あのメルマガは問題が解決していない中で書くようなことではないと思いました。ブログを読んでいたものですから、書きすぎではないかと感じました。あれではまるで判断してくれない人がいて困っているんだ。と言っているみたいです。でも、けんかにはのらないで冷静に判断してください。
ケヤキの古木(2006/02/03(Fri) 18:32:16)
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tiara
里山の暮らしはいかに・・。
vivakenのカーチャンとか オッカーとか 呼ばれる日が、来るのだろうか。

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